解説 | 1922年のデンマークの映画監督ベンジャミン・クリステンセンがスウェーデンの映画会社で撮った、中世の魔術史研究のドキュメンタリー作品ともいえる不気味な雰囲気を持つ、不思議なサイレント映画である。最初の導入では、歴史の講義の様に伝承されてきた図形や現象を解説し、それにある種の解釈を加え、さらに再現フィルムで実証していく。この再現映像こそが本作の中心であり、魔女裁判、魔女と悪魔のサバト、悪魔の怪物誕生、魔女への拷問や処刑などが当時としては最高の特撮技術とメイクアップにより、非常にリアルに出来あがっている。また、ストーリー性をもつこの映像部分は、現代のホラー映画にも多大な影響を与えている、特にヨーロッパのゴチック的な映画(イギリス、ロシア、ドイツ等)では顕著に見られる。本作は、娯楽映画としても評価は高く、中盤以降のテンポの良さ、観客の知性をくすぐる品性、さらに恐いもの見たさを満足させるリアル性など、公開当時より1968年公開(短縮版)以降のほうが話題をよんでいる。 |